わたしたちエスアイアイ・ネットワーク・システムズ株式会社は、主にネットワーク運用管理を行う製品をコントリビュートしております。
昨年は、コンソールサーバ「SmartCS」と、L2/L3運用管理アプライアンス「SmartEMT」「SmartENU」を提供いたしました。
コンソールサーバとは、各種ネットワーク機器のシリアルコンソール(いわゆるRS-232Cポート)に対して、telnet/sshでアクセスできるようにIP変換を行う装置です。
また、L2/L3運用管理アプライアンスとは、IEEE 802.1ag/Y.1731 Ethernet OAMにより、レイヤ2レベルでの疎通確認や性能監視を行う製品で、ShowNetでのEthernetOAM相互接続試験にも参加しています。
このような運用管理製品は、「日本初!」「世界初!」というように、鳴り物入りで華々しく展示されることはありませんが、ShowNetの構築から、安定した運用を行っていく上では欠かせない機器ではないかな?と思っています。
ShowNetを陰から支えるコンソールサーバ
ShowNetは、どのように構築されていくのでしょうか?
年ごとに多少は異なりますが、たいていは対外接続(大手町-幕張を結ぶ回線)を一番最初に行い、次に会場内のコアネットワークを構成するL2/L3装置、...というように、順番に機器がつながっていき、ShowNetを作り上げていきます。
もちろん、物理的にケーブルを接続していくだけではなく、段階に応じてネットワーク機器に対してそれぞれの設定を投入していきます。
ところが。
ShowNetのように、大量のネットワーク機器が集結すると、単に「設定を投入する」だけでも大仕事になります。(そのための専用DBもあるくらいです)
構築の最初の段階は、ネットワーク機器に対して「機器にIPを割り当てて、sshやwebでアクセス可能にする」という設定が必要となりますが、この設定を入れるだけでもかなり大変です。
IPがまだ設定されていない状態の機器に対しては、各機器のシリアルコンソールでアクセスして作業を行う必要があります。ただ、近年は機器の小型化が進んでいることもあり、1本のラックに大量の機器が積まれるようになってきているため、
「設定入れたいのに(他の機器の作業者がいるため)場所が空いていない」
「ラックの上の方の機器だと不安定な姿勢で作業しないといけない」
「作業場所での(ノートPCの)コンセントの口が足りない」
という状況が生まれるようになってきてしまいました。
写真1:ShowNet 2011 HotStage中のラック前の風景 #01
写真2:ShowNet 2011 HotStage中のラック前の風景 #02
「ラック前の人だかり」はShowNetの華ともいえる光景ですが、さすがに円滑な作業実施にも支障をきたすようになってきたため、状況を打開すべく?昨年のShowNetでは、
「まずは各機器のコンソールへのIPリーチを確保する」
という戦略がとられました。
その結果、ラック前はこんなにきれいになりました。
写真3:ShowNet 2012 HotStage中のラック前の風景 #01
写真4:ShowNet 2012 HotStage中のラック前の風景 #02
効果は絶大で、単なる設定変更だけの作業では、ラックの前に行く必要は無くなりました。
ほんとうに機器の前まで行かないとできない作業(ケーブルの抜き差しや、機器のLEDの確認など)を行うときだけ、機器の近くに行って作業を行うようになったため、ラック前の「渋滞状況」が解消され、ネットワークの立ち上げまでに要する時間を少なくできました。
また、機器の近くを人が通ることによる、ケーブル類への干渉による事故(ケーブルを足で引っかけたり...)が減り、手戻り作業が少なくなりました。
このように、SmartCSは(地味ですが)ShowNetを支える機器として活躍しています。
ShowNetに参加する利点
コントリビュータとしての利点は、「さまざまな機器に接続するチャンスがある」ということに尽きます。
たとえば、コンソールサーバでは、接続する相手はネットワーク機器のシリアルポートになります。
ところが、このシリアルポートの仕様が(ある程度のデファクトスタンダードはあるものの)各社バラバラです。
形状もDB9やDB25、RJ45(ISO8877)、ピン配置も(特にRJ45では)明確な規格が無いため、いくつものバリエーションが存在しています。
ShowNetでは、ネットワーク機器が各社・多数そろっているため、どのようにつながるか/つながらないかという接続試験が行えるというメリットがあります。
また、L2/L3運用管理アプライアンス「SmartEMT」「SmartENU」では、EthernetOAMプロトコルそのものについて、本来の「inter-operabilityの確認」ができ、大きくはEthernetOAMプロトコルの普及に、小さくは自社製品の品質向上に寄与できたと思います。
もちろん、ShowNetでの製品自体の露出によるマーケティング効果も期待できます。
弊社のお客様からも、ShowNetで見かけたことで製品を知った、ShowNetに使われていたのでこの製品にした、という声を多く頂いています。
このように、ShowNetへコントリビュータとして参加することには大きな利点があると思います。
(展示会自体の準備もありますので、弊社のような少人数の会社には負荷が小さいとは言えませんが....かけた労力以上のリターンはあると感じています)
来年は、貴社もコントリビュータになってみませんか?
写真撮影:徳川義崇(Interop Tokyo NOC アドバイザリーメンバー)