ネットワークのゲンバ ~ShowNetを支えるメンバーたちの奮闘ブログ~
2014/06/04
今年の注力4テーマ特集 vol.2:DC/クラウド編
今年のINTEROPに向けたShowNet構築作業も中盤を迎えています。
このブログでは、ShowNet NOC teamジェネラリストである東京大学 関谷先生が4テーマそれぞれを担当するShowNet NOC teamメンバーにインタビューした模様を先取りしてご紹介しています。
第1回ファシリティ編に続き、第2回はDC/クラウド編です。
最近のデータセンタでは、仮想化やクラウドといった利用者のニーズの変化に合わせ、提供するサービスも徐々に多様化してきています。今年のShowNetでは、さらに多様化するニーズへ柔軟に対応するための新しい取り組みが始まっているようです。
- 関谷:
- まず、ここ2年くらいのデータセンタ事情について変わった点などあればお話ください。
- 大久保:
- 特に、仮想化やクラウドへのニーズが高まっていますね。以前までは、サーバ、ネットワーク、ストレージといった物理的なリソースへのニーズが中心でしたが、現在は、すぐに使えるリソースとして、仮想化やクラウドを取り入れる企業が増えています。これに伴って、データセンタを管理する事業者側のボトルネックも変化してきています。例えば、これまではポート数や帯域など物理的な数で管理していたものが、マルチテナントのサーバになり、VLANやMACアドレスといった論理的なリソースのボトルネックが表面化するようになりました。
- 奥澤:
- 重要なデータベースやミッションクリティカルなシステムにおいては、ベアメタルな環境や、フルマネージドなサーバ、ネットワークのニーズがまだまだあります。HTTPサービスなどといったフロントエンド部分では、すぐにサービスを使いたいというニーズもあります。このような場合は外部のパブリッククラウドを利用したりして、ハイブリッドな構成をとることが多いので、今後はクラウド同士を接続する「インタークラウド」の仕組みが重要になってくると思います。
- 関谷:
- 仮想化やクラウドといった環境が整う中で、様々なクラウド、データセンタの使い分けやクラウド同士を繋ぐ「インタークラウド」という考え方も出てきました。そこで、今回のShowNetのテーマの1つでもあるインタークラウドについてもう少し詳しくお話を伺いたいと思います。
- 大久保:
- インタークラウドとは直訳すれば「クラウド間接続」といった意味になるのですが、このニーズの背景は、東日本大震災以降にディザスタリカバリ、BCPに注目が集まったことが大きいのではないでしょうか。また、多くのクラウドサービスが登場したことで、クラウドサービスごとの強みや特色をうまく使いたいというニーズも出てきました。1つのクラウドサービスではカバーしきれない機能やサービス、環境を、複数のクラウドで構成するソリューションも増えています。あとは、特定のベンダーやその機能に依存したくないというニーズもあると思います。
- 関谷:
- 今回のShowNetではインタークラウドに関してどんなことにチャレンジしようと思っていますか?
- 明石:
- まずインタークラウドの取り組みでは、商用クラウド同士を実際につなぐ予定です。その上で、今回はVXLANというプロトコルを実際に稼働させ、データセンタとして価値のあるサービスを構築できるかどうかという挑戦を行っています。
- 奥澤:
- VXLANはまだドラフト段階のため、今回提供されている対応機器も実装がまちまちだったりします。まずは各機器を相互接続させる部分でも新しいチャレンジがありますね。また、実際にサービストラフィックを流す際は、カプセル化によるオーバーヘッドがボトルネックとならないよう、どこでフラグメントを回避させるのが最適なのかを確認する必要があります。
- 関谷:
- データセンタ事業者としては、VXLANに関して業界の関心は高いと見ていますが、ShowNetでの実績として得られた知見は今後の指標になりそうですね。
- 大久保:
- 今回のShowNetでは、ビットアイル、IDCフロンティア、さくらインターネットの3社がインタークラウドの実験に参加します。ビットアイルがOpenStackベース、IDCフロンティアがCloudStackベース、さくらインターネットが独自クラウドと、3社とも異なるクラウド基盤なんですね。これらをいかに連携させるか、今回チャレンジの1つでもあります。
- 関谷:
- なるほど。データセンタにおけるOpenStackやCloudStackの現状はどうでしょうか?
- 織:
- OpenStack対CloudStackという観点では、早くから商用のクラウドサービスを提供している場合は、CloudStackをベースにしているところが多い印象があります。ただ最近はOpenStackの実装やサービスも増えており、どちらかというとOpenStackが話題として目立つようになってきました。
- 奥澤:
- 確かにOpenStackで構築した環境をフルマネージドで提供してほしいという要望は増えていますね。
- 大久保:
- クラウド事業者でOpenStackを導入してサービスを展開しているところが出始めています。APIが共通化されているという点はユーザーにとってメリットなので、これらの動向は注視しています。
インタビューの続きは会場で配布されるShowNet Magazineに掲載されています。ぜひチェックしてみてください。
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残る2テーマも近日中に公開します。お楽しみに!