ワット・ビット連携(1):余剰電力コンピューティング

気候変動対策やエネルギー安全保障の面で注目されている再生可能エネルギーですが、太陽光や風力など、ソースが自然由来の電力は、天候や時間帯に応じた発電量の変動が大きく、需給バランスのミスマッチや電力系統の混雑に伴って出力制御が必要になり、本来の発電力が活かしきれないという問題を抱えています。発電量が大きいときに、適切な電力需要をマッチングさせることができれば、再生可能エネルギーの経済性が向上し、普及に拍車がかかる期待があります。 そこで、余剰電力が発生する際に、それを用いて暗号資産をマイニングしたり、機械学習を行ったりといったように、計算の需要をダイナミックに割り当てて電力を使いきろうという取り組みが始まっています。それにより、再生可能エネルギー事業にとっては収益性が向上し、需要家は計算のための安価な電力を手に入れることができます。 このセッションでは、そうした言わば「余剰電力コンピューティング」を実践している 2社の代表を招き、そうした事業の狙いと課題、今後の展望について共有し、エネルギーと情報ネットワークの未来について皆さまとともに考えます。
<要旨>

●再生可能エネルギーと電力需給マッチングに関する基礎知識 ●余剰電力を用いた暗号資産マイニングの仕組みと展望 ●余剰電力を用いた機械学習やその他の計算需要マッチングの仕組みと展望

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Speaker

(株)アジャイルエナジーX

代表取締役社長

立岩 健二

1994年京都大学工学部原子核工学科卒業。1996年同大学院エネルギー応用工学専攻修了。 1996年東京電力に入社。新型原子炉の安全設計等に従事。2000年初頭に米国エネルギー企業「黒船」エンロンの国内電力市場への参入により業界に衝撃が走ったことをきっかけに、日本のエネルギー基盤を支えられる「技術のわかる経営者」となるべくMBA取得を目指す。 2004年にスタンフォード大学MBA取得後、日本の電力会社初となる海外原子力事業への出資参画を主導。福島第一原子力発電所事故発生時は、国際機関と連携して事故対応に従事。エネルギー産業のイノベーションを通じて福島復興への責任を貫徹する方策を模索する中、分散コンピューティング技術を活用した革新的な事業を、2018年に構想。 2022年8月、株式会社アジャイルエナジーXを東京電力の社内ベンチャーとして設立。

Speaker

(株)ビットメディア

代表取締役社長

高野 雅晴

日経BP『日経エレクトロニクス』記者、半官半民の研究開発会社ディジタルビジョンラボラトリーズ企画部長を経て、2000年から現職。ストリーミング配信システム「ShareCast」、新しいお金を具現化する「EcoCa」、ワット・ビット連携の新規ビジネス創造を目指す「SmartPower」等を推進中。著書は『新しいお金』(アスキー新書)、『経営に活かす生成AIエネルギー論 日本企業の伸びしろを探せ』(共著、日経BP)など。

Chair

早稲田大学大学院

経営管理研究科
教授

斉藤 賢爾

                         

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