汎用人工知能 (AGI) が実現する真の自動化
〜私たちの事業、労働と経済はどう変わるのか?〜

GPT, Claude, Gemini, Grokなど、昨今の大規模言語モデル(LLM)やそれらを用いたサービスの社会的受容に伴い、人工の汎用知能(一般知能)、すなわち AGI (Artificial General Intelligence) への期待や恐れ、議論が今までに増して活発になってきています。このセッションでは、技術の正確な理解をベースに、AGIの存在が前提となるとき、私たちの自由や安全や、現実・欲求・価値がどのように変化するのか、そして事業や労働や経済はどう変わりうるのかを皆さまとともに考えます。 ChatGPTを提供するOpenAI社は、AGI に向けた開発のマイルストーンとして、レベル1: 人間と自然に対話できるチャットボット、レベル2: 博士号取得者と同等の思考力で問題解決できる推論マシン、レベル3: 人間の仕事を代行できるエージェント、レベル4: 仕事の改善や新しい道具や製品を生み出せるイノベーター、レベル5: あたかも組織全体として動作するAGI、の5段階を社内で共有しているといいます。現在は、世界全体を見渡しても、レベル3以上の実現に向けた動きが活発になってきていると言えます。 科学の分野では、問題の発見から、仮説を打ち立てて実験により確かめ、論文化するところまでをAIによって自動的に行う取り組みが始まっています。これは実験を正確に行うという人間の仕事を代行し(レベル3)、そもそもどんな新しいアイデアを試す実験を行うかを決め(レベル4)、最終的には研究機関そのものを自動化する(レベル5)ことを見据えた、AGI に向けた着実な取り組みだと言えるのではないでしょうか。 このセッションでは、そうした「AI for Science」の取り組みを軸に、AGI の実現とそのインパクトを考えます。
<要旨>

●AGI とか何か、そしてその達成に向けた現在地 ●人工知能を科学のプロセスに応用する AI for Science およびその AGI との関係性 ●AIセーフティ、AIアライメントの概念と現状および展望 ●AGI がもたらす、私たちの事業、労働、経済へのインパクト

  • AI/生成AI
Speaker

東京大学大学院

工学系研究科
人工物工学研究センター
主幹研究員

山川 宏

東京大学博士(工学)1992年取得。富士通研究所、RWCプロジェクトを経て、2014〜19年ドワンゴ人工知能研究所所長。 現在、東京大学主幹研究員、近畿大学客員教授、NPO法人全脳アーキテクチャ・イニシアティブ代表理事、AIアライメントネットワーク理事。人工知能学会前編集委員長・汎用人工知能研究会主査として学術界を牽引し、脳型汎用人工知能とAI安全性の先駆者としてポストシンギュラリティ共生学を提唱。共訳書『パターン認識と機械学習』ほか著書あり。

Speaker

オムロン サイニックエックス(株)

プロジェクトリサーチャー

熊谷 亘

                         

Chair

早稲田大学大学院

経営管理研究科
教授

斉藤 賢爾

                         

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