「アクティブ・サイバー・ディフェンス」
〜 プログラム委員会のエキスパートが本質を解説&議論 〜

アクティブ・サイバーディフェンスに関する議論が約10年前にグローバルに行われました。その結果は、2018年11月に9つの原則からなるThe Paris Call として提唱されました。アクティブは、攻撃の発生への受動的(パッシブ)な対策ではなく、可能性のある攻撃への防衛策をあらかじめ(プロアクティブ)用意・準備するという考え方です。特に、「攻撃を未然に防ぐための反撃、攻撃行為に対しての攻撃側への攻撃は行わない(No hack back, active defense and countermeasures)」と明記されています。すなわち、日本で議論されている「能動的サイバー防御」は、行うべき行為ではないとされているのです。これは、孫子の兵法においても、「戦争しないことが最適な兵法」とされています。弱点を見せない(隠すを含む)、攻撃する意味・利益が存在しない状況にすることが目指すべき状態であり、そのための情報収集と共有・連携が必須となるとされていて、「戦争は極めて深刻なものであるから、よく考えるべきである」という“非好戦的な思想”を提唱していたようです。「戦争は回避すべき」との戦略で、これは、日本における「専守防衛」に通じるものであり、世界中の軍事のプロは「戦争行為を行わないことが求めるべき勝利」と考えているようです。 本セッションでは、プログラム委員会のエキスパートで「アクティブ・サイバー・ディフェンス」の本質を解説そして議論します。
  • セキュリティ
Speaker

元陸上自衛隊システム防護隊

隊長

伊東 寛

1980年慶應義塾大学大学院(修士課程)修了。同年、陸上自衛隊入隊。技術、情報及びシステム関係の部隊指揮官・幕僚等を歴任。この間、陸自初のサイバー戦部隊であるシステム防護隊の初代隊長を務めた。 2007年3月に退官し、以降、株式会社シマンテック総合研究所主席アナリスト、株式会社ラック ナショナルセキュリティ研究所所長、経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官、ファイア・アイ株式会社最高情報責任者等、約10年間にわたり官民のセキュリティ企業・組織で勤務。 2020年10月より国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)主席研究員。その他、サイバー法制学会理事や政府有識者委員、アドバイザー、複数の企業の社外取締役や顧問等を務めている。工学博士。                  

Speaker

日本マイクロソフト(株)

業務執行役員
ナショナルテクノロジーオフィサー

田丸 健三郎

1992年マイクロソフト入社。 米国 Microsoft Corporation(Redmond)にて、主にメッセージングシステム、ディレクトリサービス、及びグローバル分散処理システムの研究開発を担当。 機械学習によるルーティングの最適化、コミュニケーションデータ(自然言語)の分析、モデル化に従事。 その後、アジア地域におけるサーバーアプリケーション製品群の研究開発グループ統括責任者を務めた後、 2009年10月より業務執行役員 ナショナルテクノロジーオフィサーに就任後は、エンタープライズ、 クラウドアーキテクチャ、ドキュメントフォーマット、文字コードなどの標準化および機械翻訳などに携わり、2021年9月からはデジタル庁 プリンシパル ソリューション アーキテクトを兼務。     

Speaker

奈良先端科学技術大学院大学

サイバーレジリエンス構成学研究室
教授

門林 雄基

                         

Chair

東京大学大学院

情報理工学系研究科
教授

江崎 浩

                         

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