スマートビルのサイバーセキュリティ対策 〜AI活用異常検知とビルシステム向けSOCサービス〜
近年、制御技術(Operational Technology、以下OT)においてもIoT/AIといった最新のIT技術の活用が進み、運用効率改善・予知保全といった付加価値が生まれています。一方で、OTが技術的にITシステムに近づくことで、OT環境におけるサイバーセキュリティの脅威が高まっており、実際に、WannaCry以降、制御システムのランサムウェアへの感染により、工場が停止したり、ビルのシステムの一部が使えなくなったりする被害が発生しています。
しかし、制御システムは可用性を重視するため、現状の動作に影響を及ぼしかねない対策(例:端末へのアンチウイルスのインストール)が難しく、進化する攻撃に対しての防御が難しいのが現状です。そのため、ネットワークでのセキュリティの異常監視によって、なるべく早く脅威を検知することで、被害を最小限に抑えることを目的とした「制御システム向けのSecurity Operations Center(SOC)」の導入が、既存の制御システムでの有力なセキュリティ対策の一つとして知られています。
本セッションでは、パナソニック株式会社における自社向けの「工場SOC」の取組みについて、「導入の背景」や「独自開発のAIを活用した異常検知システム」を中心に紹介します。ついで、工場SOCで培った技術や運用ノウハウを、社外の「ビルシステム向けSOCサービス」のビジネス化につなげる取組みについて紹介します。中でも、ビルシステムの「想定リスク」については、『ビルシステムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン』(策定:経済産業省 産業サイバーセキュリティ研究会 ビルサブワーキンググループ)をもとに洗い出しを行っており、本セッションを通じて公開することで、ビルオーナーを始めとしたビルシステム関係者の共通リファレンスとして、業界全体で活用されることを意図しています。
<要旨>
・工場SOC(制御システム向けSOC)の技術的な課題と対策
・ビルシステムの「想定リスク」
・ビルSOCのビジネス化に向けた課題と対策