YB1-03

6.12(水) 14:40-16:00 | RoomYB

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ドローン前提社会への道筋
~岩盤規制を塗り替えるドローン産業~

2023年12月に実施された航空法の改正により、無人航空機(ドローン)が人の頭上を飛ぶ、いわゆる「レベル4飛行」が可能となりました。しかし、その実現には越えなければならない壁が多く、特に機体の安全性については、一般の航空機に由来する高い基準が存在しています。一方、ドローンビジネスを推進する事業者からは、費用対効果の観点でそのレベルに達することが現実的ではない、という意見も挙がっています。特に監視者の配置や飛行経路に該当する地上部分の立ち入り禁止措置については、かつて自動車の前で赤旗を持った人が安全確認のために歩行することを義務付けた赤旗法になぞらえて、過剰で産業創出を阻むものであるとの声が少なくありません。 このような状況下で、ドローンのような空間を自由に移動できるロボットが活躍できるように、サイバーフィジカルシステムやIoTとの連携によるシステム・オブ・システムズの考え方に基づいたデータによる安全確保の議論が進んでいます。たとえば、地上の状況をデータ化し、ダイナミックにリスク分析を行いながら、必要な飛行経路の調整を行い、シンプルな機体でありながら、全体のシステムとして安全性を担保する、という考え方です。 この考え方は、自律したノードが、分散しながらも、必要に応じて協調して全体の秩序を形成しているインターネットの振る舞いと酷似しています。そこで、かつて「インターネット前提社会」というスローガンの下、今日の形へと発展したインターネットを題材に、「ドローン前提社会」というビジョンの下、ビジネス創造や産業化へのアプローチが続けられています。 本セッションでは、インターネット前提社会の礎から関わったキーマンと、ドローン前提社会の実現に向けて目下活動しているキーマンと、そして産業化に向けた取り組みを進めるキーマンと共に、新たな社会インフラの構築とその産業化に向けて、ユースケース創出、普及啓発、社会的受容性、技術開発の観点から議論します。
<要旨>

●インターネットの設計思想とは? ●大規模な自律・分散・協調型アーキテクチャに至った歴史・背景の紹介 ●ドローンが研究者のおもちゃから産業として独り立ちするために必要なエッセンスとは? ●サイバーフィジカルシステムやIoTノードとしてみたドローンの可能性 ●自律移動ロボットによるサイバー空間から実空間へのアプローチ

  • ネットワーク
  • IT戦略
  • ロボット
  • ドローン
Speaker

DRONE FUND(株)

共同代表

大前 創希

Speaker

Aerial Innovation, LLC

CEO

小池 良次

2016年、商業無人飛行システム、次世代電動航空機(空飛ぶクルマ)などの管制通信システム(UTM/UATM)、地上設備などを専門とする事業開発コンサルティング会社Aerial Innovation LLCを設立、CEOに就任。情報通信総合研究所上席リサーチャー。情報通信ネットワーク産業協会にて米国情報通信に関する研究会を主催。在米生活30年以上。

Speaker

慶應義塾大学

教授

村井 純

工学博士。1984年日本初のネットワーク間接続「JUNET」を設立。1988年インターネットに関する研究コンソーシアム「WIDEプロジェクト」を発足させ、インターネット網の整備、普及に尽力。初期インターネットを、日本語をはじめとする多言語対応へと導く。内閣官房参与、デジタル庁顧問、他各省庁委員会主査等を多数務め、国際学会等でも活動。2013年ISOCの選ぶ「インターネットの殿堂(パイオニア部門)」入りを果たす。「日本のインターネットの父」として知られる。著書に「インターネット」(岩波新書)他多数。

Chair

Interop Tokyo 2024

カンファレンス プログラム委員

南 政樹

インターネット黎明期から25年以上にわたり、サイバーフィジカルシステムが支えるデジタル社会の領域を対象として研究活動に従事。2020年には、独立行政法人情報処理推進機構が新設した「デジタルアーキテクチャ・デザインセンター」において、自律移動ロボット領域のプログラムディレクターとして、Society5.0やスマートシティで実現されるドローン、サービスロボット、空飛ぶクルマなどが産業としてあるべき姿のアーキテクチャデザインをリード。現職においては、内閣府が定めるスマートシティリファレンスアーキテクチャに関する調査、自律移動ロボットとスマートシティ、都市空間情報基盤、データ連携基盤などの導入計画・構築・運用に関する支援に従事。 特にインターネットを基盤とするサイバー空間(仮想空間)の柔軟なデータ流通と、ドローンや空飛ぶクルマを含むロボティクスなどのフィジカル空間(現実空間)を移動するテクノロジーを、産業アーキテクチャーを土台として融合させることで、産業・社会基盤に新たな付加価値を創出する事業・ビジネス・サービスの支援に強みを持つ。

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