YB2-03

6.13(木) 14:40-16:00 | RoomYB

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オリジネーター・プロファイル(OP)が目指すトラストの姿 ~偽・誤情報、生成AI、フィッシング~

かつてフェイクニュースと呼ばれた偽・誤情報は、もはや安全保障を含む国家的課題となりました。2024年元旦に発生した能登半島地震では、発生当初から岸田首相自ら「デマに注意を」と国民に再三呼びかけるなど、偽・誤情報という社会課題の観点からも重大な事態を招いています。一方、生成AIの普及は、こうした偽・誤情報の文章やwebページ制作のコストを劇的に低下させ、さらにフィッシングのような「悪事のインセンティブ」は拡大傾向にあり、状況は悪化の一途を辿っています。 偽・誤情報問題の難しさは、「何が偽・誤情報なのか」という解釈の余地がどうしても残ること、また言論の自由の観点から強力な規制が困難であること、しかしながら何らかの対策が急務であるということです。そのため、デジタルメディアにおいてトラストのある情報流通を実現するには、「信頼を高める構成要素」を特定し、誰もが恩恵を得られるように社会インフラ化する必要があります。 オリジネーター・プロファイル(OP)は、信頼の基礎となる「情報の真正性」を高めることを目的に、Webページに埋め込まれた識別子を電子署名によって管理し、発信者と受信者の双方が情報の出自や来歴を検証(ベリファイ)できることを目指しています。本セッションでは、OPの技術的な構造やW3Cでの標準化の取組、応用の可能性、またディプロイメントの見通しなどについて、当事者が解説します。
<要旨>

●オリジネーター・プロファイルの目的と概念 ●技術構成と開発状況 ●W3Cにおける標準化の取組と社会実装の見通し ●トラストある情報流通

  • IT戦略
  • デジタル基盤
  • Trusted Web
Speaker

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任教授 /

Trusted Web推進協議会タスクフォースメンバ

鈴木 茂哉

情報システム研究者およびエンジニア。コンピュータネットワーク、コンピュータを用いた通信、ブロックチェーン技術、サイバーセキュリティ、量子情報システム、DNSを含む名前管理システム、および、RFIDを含む実空間情報システムの研究に従事。システムアーキテクチャ、ソフトウェア開発についてのエキスパート。1989年よりインターネットに基づく情報システム開発に従事。現在、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授。博士(政策・メディア)。慶應義塾大学SFC研究所データーアーキテクチャラボ副代表。WIDEプロジェクト運営委員。Trusted Web推進協議会タスクフォースメンバ。Originator Profile技術研究組合技術WG部会長。W3C DIDおよびVC WGメンバ。ACM,IACR,IEEE,IEICE,IPSJ会員。

Speaker

(一社)WebDINO Japan

CTO

浅井 智也

学生時代よりMozillaコミュニティに参加し、Web技術文書の翻訳やMozilla製品の日本語リリースをFirefox 1.0から担当。大学院卒業後は、グローバルな公共のリソースとしてのインターネットの発展への寄与という組織のミッションに共感し、Mozilla Japan (現 WebDINO Japan) の一員として最新ウェブ技術とMozilla 関連情報の普及活動に従事。現在は、Webとブラウザ技術の利用領域拡大に向けて、家電製品や組込製品でのWeb技術採用支援、カスタムブラウザの提供、企業内でのブラウザ展開支援に取り組む傍ら、Webとオープンを軸にした産官学とオープンソーコミュニティを繋ぐ研究開発や人材育成にも注力している。 - 内閣官房 Trusted Web推進協議会 タスクフォース メンバー (2020 - 現在) - Originator Profile 技術研究組合 技術開発 Working Group 副部会長

Chair

オリジネーター・プロファイル技術研究組合

事務局長

クロサカ タツヤ

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